こんにちは。まやわかです。
大谷さんと同世代で、かつ大谷さんにも引けを取らない才能を秘めていたかもしれない選手たちの今に焦点を合わせた本書に興味を持ち、読み始めました。
「本書は『NumberWeb』で、2024年6月~2025年3月まで連載したものを大幅に加筆修正したノンフィクション作品です。」とあり、プロローグ・第1章~第6章・終章・エピローグで構成されていて、第1章から終章までそれぞれ特定の選手について直接インタビューをして書かれています。
野球ファンでもない、野球ど素人の私でも、スポーツ選手のその時々の感情や葛藤に引き込まれました。
高校野球が好きで、本書に登場する選手の活躍をリアルタイムで見ていた人には、特におすすめの1冊です。
第2章~第6章より
第2章 怪物中学生は今 大坂智哉「大谷に‶負けた〟と言わせた少年」
ターニングポイントは、中学生のときでしょうか。
ここが違えば、その後、どうなっていたのだろうかと思いました。
第3章 消えた東北の天才 渡辺郁也「大谷が落選した楽天ジュニアのエース」
やらなくてもできてしまった、という早熟さゆえに遅くに来る挫折。
中学時代の恩師の方が、早熟の選手を早熟で終わらせないためのプログラムの必要性に言及され ていたのは興味深かったです。
第4章 超無名中学生の逆転人生 岡野祐一郎「母親のウソで、ドラフト3位に」
人と比べず、決して歩みを止めず、自分に負荷をかけてやり抜く。
それを実際にやれる心の強さでプロになった過程は読んでいて気持ちが良かったです。
第5章 高卒エリート組の後悔 北條史也「大谷にも藤波にも聞けなかった」
「もっと早く聞いておけばよかった」と言われていたのが印象的でした。
人に意見を聞くことは、弱い自分を見せるようで難しかった、確かにそうなのだと思います。
第6章 大谷世代‶最後の1人〟 田村龍弘「アイツのことは話せない」
大谷世代の中で高校卒業と同時にNPB入りを果たし、NPB一筋でプレーした選手の中で、今も唯一ユニフォームを着続けている田村選手は、プロでやっていくために、プロ野球選手としての根本的な生き方を変えたと語っていました。
変わらないといけない、と実際に変われた人。なかなかできないことだと思います。
第1章と終章より
第1章 藤浪晋太郎、30歳の告白「阪神時代、眠れなくなった」
終章 再び、藤浪晋太郎「大谷、どうでもいいんです」
第1章と終章では、藤浪晋太郎さんが取り上げられています。
プロ入り3年目オフに1億円を超える年棒を手にし、そこまでは間違いなく同年代のトップを走っていた選手。
当時、「藤浪世代」「藤浪・大谷世代」という言葉はあっても、「大谷世代」という呼び方は存在しなかったそうです。
しかし、4年目以降、藤浪選手のペースが落ちていく中、対照的にペースを上げ始めたのが大谷選手でした。
そして、それまで「藤浪世代」と呼ばれていた1994年4月から1995年3月に生まれた選手は「大谷世代」として括られるようになったとのことです。
ここでは、藤浪選手が崩れていく過程が語られています。
私は野球に特に興味がないので、当時のことはよく知りませんし、色々な意見もあるとは思いますが、読んでいて、胸が苦しくなるところもありました。
藤浪選手が悩んでいたときの心の支えになった野茂英雄さんや武豊さんとのエピソードにも触れられていました。
読んでいて、私にとっての藤浪選手の印象は、知的で誠実、そして、しなやかな強さを持った人。
これから復活して、大活躍してくれたらうれしいなと思います。
読語の感想
どんなにすごい選手と言われていても、プロに行く前に消えてしまったり、プロに行って自分を変えていったり、それだけプロの世界はまるでレベルが違うのだと思いました。
その中で、メジャーリーグに行ってもなお異次元の活躍を続ける大谷選手っていったい…。
野球に限らず、スポーツ選手の厳しさと残酷さを思うとともに、それゆえに選ばれた人だけの、今この時のきらめきに私たちは魅せられるのだと感じました。
著者の中村計氏より、「大谷は、やはり夢を奪った男だった。特に自身も『天才』と呼ばれたことのある同業者にとって、もはや今からではどうしようもない嵩の違いを見せつけられるほどつらいことはない。」とありますが、天才と呼ばれた人の今を本書で確かめてください。
色々なことを経て、自分の道を進んでいる方々を私はかっこいいと思いました。
(リアルタイムで、そのころの活躍も見てみたかったな…)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も明日もよい1日を。

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